詩のページ                            


 ここにある詩は、今から30年以上前の16歳から21歳までの間に作った詩です。
高校生の時には、友人と二人でガリ刷りで詩集等を作っていました。その友人は若くして亡くなりました。
今読むと、幼い未熟な詩ですが、それだけに純真でもありました。(^^ゞ
会社勤めをするようになってからは、何故か書けなくなりました。
当時の詩はすべて縦書きでしたので、ここの詩も縦書きで作ったものです。
このページのように横書きにすると、微妙に感じが違うものもあります。
今読み返すと、思い上がりや知ったかぶり等大分恥ずかしいものも多いですが・・・・。
詩の後にあるのは、当時の思い出等です。







         笑顔


ボクタチはある日
笑顔で出会いました

それからボクタチは
楽しく交際しました
楽しく過ごしている間
前と違った笑顔が
君の顔と
僕の顔を
作っていました

やがて
ボクタチは別れました
二人はその時も
やはり笑顔でした
でも やはりその笑顔も
前の二つとは違っていました



                                 中学3年の時に、学校の廊下ですれ違う時等に
                                 何故か、にっこり微笑んでくれる下級生がいました。
                                 笑顔がとても可愛い人でした。









            去りゆく夏            


ギラギラした太陽の輝きは
ひっそり 光を失う

地面をおおうあたりの熱気は
静かに 熱を失う

体から噴き出す汗は
優しく忘却される

木の葉の色は
まだ 鮮やかな緑だが
ひっそりと
弱々しいもののように
夏は去りゆく

遠くから風鈴の音が
響いてくる



                                     高校のテスト用紙の裏に書いた詩です。  
                                     テスト中に、ぼんやり窓の外を見ていて作りました。









                貴女                   


貴女の手紙が来るたびごとに
貴女の思いを
引き出そうとする僕だが
そのたびに
貴女は
僕には解くことの出来ない
こんがらかった糸になってしまう



                                        好きになった彼女へ、手紙を書きました。
                                        書いただけで出さなかったものもあります。
                                        彼女から待ちに待った返事が来るのですが・・・・・。









        孤独


キーンと金属的な音が
底に流れている真空の世界
山は錆びた鉄くず
冷たく光る氷の川
町は脆いコンクリート
そして
その全てをおおうのは
不気味な灰色の空
この”不在”の町の
地の底へ続く石の道を
ただ一人歩いているのは僕

にぎやかな町の中にいるのだが
何処を見てもダアレモイナイ



                           高校生の時には、孤独感が非常に強かった。
                           自分を分かってくれる人は、いないと感じていました。
                           しかしそんな自分にも、全く自信はありませんでした。









      たとえば                        


たとえば
舵を失った船のように
僕はさまよい歩く

たとえば
子供が初めて外界にふれる前のように
僕は目的が何かを知らぬ

今の僕には
目もない
耳もない
そして
考えも。
あるのは
全く共通部分のない
完全に反対の悩み

たとえば
かりそめに遊ばれる粘土のように
僕には形がない

たとえば
孤独な宇宙に浮かぶ
ちっぽけな塊のように
遠い遠い距離がある



                                 この詩も、自分の孤独感を書いたものです。
                                 「目もない」とは、自分にはすべての物が、
                                 よく見えていないという感じでした。








        ときとして         


時として
非常に悲しく思う。
思わず襟を正させる静寂
孤独な夜の一時に。

時として
虚しく胸を沸き上がる。
全く突然に起こる
はかない断片の数々。

時として
瞬間に過ぎぬ不合理は
永遠の姿で大きく現れる













    共食い


研ぎ澄まされた歯を
ギリギリ鳴らし
二匹のサメの
友食いが始まった
ドクドク血が噴き出す
鈍い色に染まった中で
命を争う二つの黒い塊

間もなく
血の臭いのプンプンする
一匹のサメから
勝ったサメは
内蔵をゴリゴリ引きちぎっていた
海水は血で濁っている
そのサメは残酷に食い荒らし
ズタズタの残骸を放り出し
行ってしまった

なぜだろう
このサメが
強者として仲間の尊敬を集めるのは



                             題名の「共食い」と詩の中の「友食い」を分けて
                             作りました。









          愛


灰色の押しつぶすような空があり
その下に平凡な山があり
絶望の形をした木々のある所に
僕は一人住んでいた
死に損ねた鶏の鳴き声で
僕は起き
何もない空を見て眠るのだった

ある日 僕は
木々の間からまれにもれる太陽のように
遠くに
あなたの微笑みがあるのを知った
その日から
あなたの微笑みが見える方向ばかり見て暮らした
そしてある日
僕はあなたへ向かった

だが違っていた
傍で見ると
あなたの微笑みは 実は
悲しみのためにおこる
皮膚のけいれんだった

僕はしばらくしてそこを去った
遠くに行ってから振り返ると
あなたは やっぱり又
僕に微笑んでいた











         柔道               


ふわっうう と投げられ
体が重力を失う時
僕らは何を感じるのだろう
心だけが空(くう)に残り
体がドッシリ重く地面をたたく
それでも、なお
僕らは心を捨てることが出来ないでいる



                                         当時、村野四郎の体操詩集などを読んでいて、
                                         それを真似て体操を題名にした詩をいくつか
                                         創りました。








                   作品206


               言葉は いつも私を欺くので
               自分を保とうとすると
               沈黙を守らねばならぬのだ。


                あなたは いつも冷たいので
                感情に負けまいとして
                私は沈んだ顔をするしかないのだ


              世の中にはいつも何もならぬ紐が多すぎて
              それに縛られまいとすると
              私はいつも小さく縮まねばならぬのだ                  



                                           私の206番目の詩です。
                                           数だけで駄作ばかりですので、今は当時の詩の
                                           ノートも残していません。
                                           比較的マシなもの(?)が40ほどノートにあります。










   つゆあけ


青い広い空の下で
蝉は忘れていた歌を思い出す
緑にしっとりしていた木の葉が
驚くような真っ白い雲を背に燃えている
白い道に影はくっきり姿を現し
全ての存在を確かめている
優しい春との交代も終わり
いよいよ夏の力強い行進だ

今年も油絵を書く季節が来た












               雨               


ともすると
それは
優しかった。
ともすると
それは
美しかった。
でも いつも
寂しかった。
寂しさのあまり
すべてを失い
透明になるだけだった
選ぶことの出来るただ一つの道は
絶望の形をしての
長い落下だけなのだ












          雨


・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・雨が降る
・・・・・・・・・・・・音もなく
・・・・・・・・・・・・山の姿は
・・・・・・・・・・・うっすらと
・・・・・・・・・・・・・優しく
・・・・・・・・・・・・雨が降る
・・・・・・・・・・聞こえるのは
・・・・・・・・・・・・・・ただ
・・・・・・・・・・・雨だれの音
・・・・・・・・・・・・・遠くに
・・・・・・・・・・・・・近くに
・・・・・・・・・・・・・・山も
・・・・・・・・・・・・・木々も
・・・・・・・・・・・・・・家も
・・・・・・・・・・・・みんなが
・・・・・・・・・・沈黙のうちに
・・・・・・・・・・・濡れている
・・・・・・・・・・・・雨が降る
・・・・・・・・・・悲しい響きが
・・・・・・・・・・・・・遠くに
・・・・・・・・・・・・・近くに
・・・・・・・・・・・・・・雨が
・・・・・・・・・・・・・・・降
・・・・・・・・・・・・・・・る
・・・・・・・・・・・・・・・・



                               高校の文化祭の文学倶楽部の展示用として作ったものです。
                               「・・・・」は雨を現しています。読まれるだけでなく見られる
                               ことも意識して作りました。
                               もちろん雨ですので縦書きでないと・・・・・。









         俺たちに明日はない


あなたの発射した弾丸は
一人の人間の体を貫いた
多くの安定を神経質にし
多くの存在に鈍い鎖をまいた
余裕は細い綱に落下を見て立つ
記憶は重すぎる黒い血だ
時間は一秒ごとに針を鋭利にし
不安を数える
永遠は一瞬のうちに過ぎ去り
瞬間は永遠の形をして表れる
戯れの出来事は
充血した涙だ

あなたの発射した小さな鉄の塊は
あらゆる悲しみの海を通ってきた
あらゆる憎しみの焔を通ってきた
最も深い孤独の裂け目を通ってきた
最も矛盾する不合理を通ってきた
飛ぼうとする小鳥の羽を突き破ってきた
薄ガラスの心を粉々にしてきた

あなたの撃った一発の弾丸は
地球の重さで帰ってきた
来るべきところはわかっている
あなたの心へ異常な重さが加わった
過去の多くの涙が
あなたの体を突き破った

あなたの発射した弾丸は
あなたの体を貫いた
あなたの死は
一人の孤独のように同情をあびる
一人の一生の涙を瞬間にあびる
一人の記憶に
黒い永遠を引いた



                             上の詩は、映画「俺たちに明日はない」を見て書きました。
                             自分の撃った弾丸は、色々な影響を与え、何倍にもなって
                             結局は、自分に帰ってくるというイメージです。












少年        


少年は迷信(うらない)を信じない
けれど
少年は不安なので
試してみる
二人で歩く時
少女がどちら側を歩くか
そして
少年は訊ねる
きみの好きな色は?
きみの生まれた月は?
少女は当たり前に
そして正直に答える
少年は
少女の言葉の切れ端をひろい
気を落とす
そして思う
あれはつまらない迷信(うらない)なのだ
そう思うことのみが
まるで少年を救っているかのように

少年は迷信(うらない)を信じない
けれど 少年は
少女の心を知りたいので
試してみる











     

                 桃栗三年柿八年


柿になってください。
そう言って去っていく。
密やかな湿り気の中
僕は一人ある。
戯れのような絶望がやってきて
濃い陰りを忘れていく。
柿になってください
そう言って
ためらいがちな僕の歩行が始まる。
あなたと僕の言葉に
太古の夜が訪れる
柿になってください
郷愁のハンカチを胸に押し込むと
原始の闇の中で
あなたの方角は消滅している。



                         遠距離恋愛の詩です。
                         当時、山形・東京間はとても日帰り出来る距離では
                         ありませんでした。
                         電話代も高く、しかも公衆電話は10円玉しか使えま
                         せんでした。お釣りの10円玉を貯めて、500円位に貯
                         まった時に電話をするのが楽みでした。









           


僕は断定を知らぬ
僕は純色を持たぬ
僕はすべての中間に存在する
僕は混ぜ合わされた色だ

僕は負(マイナス)の世界に全てを見る
正(プラス)の世界には何も見えぬ
僕は自然も人も一切いらぬ
僕が自然で他人(ひと)なのだ

僕には断定がない
僕は存在の上に浮かぶ
影なき点なのだ




【2行詩】

 私の高校時代に「若い広場」という勤労青年者向けの月刊雑誌がありました。雑誌の中には、読者からの詩や短歌などの投稿者欄がありましたが、その中の一つに、2行詩のコーナーがありました。
ここに載せた2行詩は、そこに投稿してコーナーに採り上げられたものです。

 


             孤独

 
光がなければ
金も輝きはしない

                         投稿した時には、2行目は「金も輝かない」となっていました。
                         それを選者が、上のように直してくれたのですが、さすがだと思いました。                          

 


             孤独

 
魂の底を流れる
鈍い 金属の歌
 

                           この詩の内容は、詩のページの
                           最初から4番目の作品「孤独」と同じようなものです。 

 

 

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